銀板写真やフィルム写真の中に,人は想いを築いてきた。そしてフィルムは,その素粒子で想いが伝わるように発達してきた。ピクセルデータの時代になっても,その概念は,変わらない。
昨年はデジタルカメラの売り上げが63%上昇し,売上高が10億ドルを超えた。今までソニーがフロッピーディスクを媒体としたことで人気をはくしていたが,フロッピーの容量不足で魅力が薄れてきた。従来の伝統的なフィルム式カメラのメーカー,ニコンやオリンパスも,このメガピクセル・カメラ市場で商品を展開している。
デジカメの売り上げの増加は日本でも同様,いや,もともと優秀なフィルムカメラ市場があったせいか,米国以上だろう。最近はピクセル数も爆発的に増え,300万画素オーバーではちょっとやそっと引き伸ばしても画像の緻密さには違いがなく,あとは色の再現度や彩度の勝負になるのか? そうなると,今までフィルムカメラで培ってきたメーカーは,その能力を最大限に発揮できる。
デジカメがフィルムカメラと売上高で並んできてきていて,このままなら数年もかからずに逆転するだろう。カメラといえばデジタルピクセルのもの,という観念がもうちょっとで行き渡るかもしれない。だが,一枚の写真の中に,込められる気持ちを残すという意味で,フィルムであろうが,ピクセルデータだろうが,その差異はあまりない。気持ちを伝えるためのデジカメ,そんな時代がこれからの勝負になる。
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